こんにちは、ライターの小澤まみです。
関西屈指の名湯、城崎温泉。カランコロンと下駄の音が響く、風情溢れる温泉街は、志賀直哉をはじめとする文人墨客に愛され、小説の舞台にもなっています。その城崎で、160年もの歴史を持つ『西村屋本館』。江戸、明治、大正、昭和、平成、令和。時代を超えて受け継がれる、山陰随一の純日本旅館で、おもてなしの心を体験あれ。
創業は江戸時代。老舗旅館『西村屋本館』
1,300年の歴史がある、関西屈指の名湯、城崎温泉。「まち全体が大きな温泉宿」という精神で、奈良時代から、人々は城崎のお湯に魅了され続けてきました。カランコロンと下駄の音が響く、風情溢れる温泉街は、志賀直哉をはじめとする文人墨客に愛され、小説の舞台にもなっています。
「まち全体が大きな温泉宿」という精神の城崎温泉。平成25年2月には、旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャパン」で2つ星。環境省と官公庁が後援する「温泉総選挙2016 インバウンド部門」では1位に輝いたほど、魅力的な温泉なのです。
「駅は玄関」「道は廊下」「宿は客室」「土産屋は売店」「外湯は大浴場」「飲食店は食堂」。というように、「まち全体を1つの大きな宿」と考えているので、ぜひ浴衣に着替えて、そぞろ歩きを!「浴衣が似合う温泉地」でも全国1位になったことある城崎温泉は、浴衣が当たり前のまちでもあるのです。
「宿は客室」の1つ、『西村屋本館』。江戸・安政年間創業。160年の歴史を持つ、山陰随一の純日本旅館です。江戸、明治、大正、昭和、平成、令和。6つの時代を超えて受け継がれています。
場所は、城崎温泉の真ん中。JRを利用する場合、「大阪駅」より「城崎温泉駅」までは、特急こうのとりで約2時間40分。「城崎温泉駅」からは、無料送迎バスが出ています。徒歩だと15分ほどですが、駅前の「お宿案内処」に荷物を預けておけば、係の方が取りに来てくれます。観光がてら、のんびり歩いても。
四季のある日本がより好きになる館内
160年もの間、たくさんの人々の思い出に寄り添ってきた『西村屋本館』。風格ある正門は当時のもので、悠久の時の流れが歴史を感じさせてくれます。
玄関を入ると、まず目に飛び込んでくるのが、絵画のような日本庭園。窓辺の香炉から立ち上がるお香は、京都のお香専門店『松栄堂』の「堀川」という白檀の香りです。深いリラックス効果のある、白檀の爽やかで甘い香りは、旅の疲れを取ってくれるだけでなく、一瞬にして非日常の世界へ誘ってくれます。
旅館の中央にある日本庭園。日本庭園を囲うように部屋があるため、宿泊する部屋によって、景色が全く異なります。部屋にいながらにして、季節や自然を感じられる日本庭園の美しさは、心を掴んで離しません。次の季節には、どんな美景を見せてくれるのか。こんな風に、その先の季節に思いを馳せることができるのは、四季がある日本ならではですよね。
新型コロナウイルス等の感染予防対策として、深紫外線LED搭載除菌装置、プラズマクラスター清浄機が全室に完備されています。旅行を楽しみたいと思いつつ、不安はつきもの…だからこそ、こういった完備で安心して宿泊できるのが嬉しい。
『西村屋本館』には、「平田館」と呼ばれる別棟があります。昭和35年、数寄屋建築の巨匠・平田雅哉氏によって建てられたものです。「平田館」は平田氏の代表作の1つで、国の登録有形文化財に指定されています。「平田数寄屋」の神髄を堪能できる部屋で、贅沢な時間をお過ごしください。
日本庭園は散策することもできます。部屋によっては、自分の部屋から庭に出ることも。下駄が置いてあるので、浴衣に下駄で和の庭散歩を。
ロビーラウンジ「青月蘆(せいげつろ)」は、セルフサービスでコーヒーや紅茶、ジュースが飲める喫茶スペースです。こちらからも庭を眺めることができます。中国、李朝、北欧など、一見バラバラの組み合わせかと思う家具も、和の趣でしつらえると、不思議とマッチしていて。お気に入りの席を見つけてくださいね。本が置いてあるので、ゆっくり読書タイムにも。
温まりやすく、湯冷めしにくい。城崎のいで湯を
開湯1400年を誇る、城崎のいで湯。温まりやすく、湯冷めしにくいのが特徴で、お風呂から出ても、しばらく体がポカポカしています。体の芯から温めてくれるので、冬場の湯巡りも苦になりません。城崎温泉と言えばの外湯巡りをする場合、『西村屋本館』で無料券をいただけます。7つの外湯。好きな温泉が見つかりますように。
『西村屋本館』には3つの内湯が。朝と夕で男女が入れ替わります。
エキゾチックな雰囲気の「福の湯」。中国の古典で庭園の敷石芸術、「舗地(ほち)」の趣向を取り入れています。大きな窓や、モザイクタイルの壁が特徴的。
「吉の湯」は純和風の檜風呂。湯舟、壁、天井に至るまで檜造りで、檜の良い香りが漂っています。
「福の湯」、「吉の湯」ともに露天風呂が付いています。
「平田館」に宿泊していなくても、「平田館」の大浴場「尚(しょう)の湯」は利用可能です。大きな窓の向こうには、庭園の風景が広がっています。
『西村屋本館』が手掛けたホテル、『西村屋ホテル招月庭(しょうげつてい)』のお風呂も入ることができます。徒歩だと10分ほど。ハイヤーも用意してもらえます。
海の幸も山の幸も欲張れる
海も山も近い城崎。そのため、海の幸も山の幸も豊富で、前菜から締めまで、地元の新鮮な食材を味わえます。夜も朝も部屋食で、周りに気を使わず食事ができるので、子連れにもありがたい。
11月~3月までは、「味覚の王様」松葉ガニがいただけます。旬の醍醐味ですね!「本生かに会席」と「本生かにづくし」の2つのコースがあるので、お好みで。
カニが苦手な方、甲殻アレルギーの方には別メニューを用意してくれるので、事前にご相談を。
部屋や温泉、食事以外にも『西村屋本館』のおもてなしの心が散りばめられています。季節のお花、お茶とお茶請けのおもてなし、スタッフの方の言葉遣い、気遣い、立ち居振る舞い。細やかなところにも、おもてなしの心を感じることができます。お客様が心地良く感じられるように。その思いを160年間大切にしている『西村屋本館』で過ごす時間は、きっと忘れられないことでしょう。
詳細情報
『西村屋本館』
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島469
HP:城崎温泉 旅館 西村屋本館 | 公式ホームページ (nishimuraya.ne.jp)
※事前に公式サイトでの確認をお願いします。
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