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〈ドリアン助川〉あん

樹木希林120の遺言を読んで、彼女が出演していた映画・あんの原作を読んでみました。

最近、心のサプリになるような本を結構読んでいます。

特に悩みはありませんが(骨折は不便…)、見たものや聞いたもの、食べるもので自分が形成されるということを強く意識し出して、なるべく心や体に良いものを取り入れたいと思うようになったからです。

本書からもたくさんの栄養をもらえました。

読後は幸せな気持ちになれると同時に春が待ち遠しくなります。

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前科持ちの仙太郎は、商店街で小さなどら焼き屋「どら春」で毎日休みなく働いています。

先代にまとめてもらった借金があるからです。

そこへ、アルバイト募集の貼り紙を見て応募してきた徳江(樹木希林)。

76歳で指も曲がっているため断りましたが、時給200円でもいいと今度は自分の作った餡まで持ってきました。

徳江への義理を果たすためにとりあえず一口食べてみたら、あまりの美味しさと時給200円で売上を伸ばせたらこの借金から解放されるかもしれないという打算も働き、手伝ってもらうことに。

徳江の餡作りのこだわりはすごくて仙太郎まで早起きしなければならず、しかも「豆へのおもてなし」や「声を聞く」とか意味のわからないことを言い始めます。

しかし、この「声を聞く」という行為が後々重要なワードになっていくのです。

徳江に付き合うのは大変ですが、そのおかげで甘いものが苦手な仙太郎が完食できるどら焼きが出来上がりました。

そして仙太郎の読みは当たって売上は伸び、初めての「完売御礼」まで達成しました。

仙太郎の心にも変化が訪れます。

ただ、店は繁盛するのですが、仙太郎が引っかかっていたあることがきっかけで(そうだとは思いたくありませんが…)お客さんが来なくなってしまい、徳江も辞めてしまいます。

ここから仙太郎と徳江、お客だったワカメちゃんとの交流はドキュメント番組みたいで、知識のなかった私には初めて知る辛い出来事ばかりで何度も胸が締め付けられました。

その中でも楽しみや希望を見出そうとしていた人たちの強さや優しさに涙が止まらなくなります。

人ってすごい。

生きる意味を徳江が餡作りみたいに丁寧に教えてくれます。

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